本記事では、親の介護に関するお金のことや、制度、気になるデータをまとめて紹介する。
節約する・しないに関わらず、知識をつけておくのは大事なことだ。知っているだけで、得することももしかしたらあるかもしれない。
なお、本記事を執筆するにあたって、参考にした資料や、出典元は注意を払ったつもりだ。データを利用するにしても、ある程度母数の多いものを参考にするようにしている。
ぜひ内容を確認していただいて、投資・節約ドットコムのこれからの記事を読み解く材料にしていってほしい。
介護費用の仕組み
要支援・要介護状態と支給限度額、介護保険による1~3割負担
まず「親の介護費用」と聞いて、思い浮かぶのが介護保険制度だ。
介護保険制度とは、わかりやすくいえば、介護費用の7~9割を国が負担してくれる(自己負担が1~3割になる)制度のことだ。
もちろん、介護にかかるすべての費用を負担してくれるわけではなく、
介護保険の対象になるサービスであること、そして介護認定に応じた1か月あたりの支給限度額の範囲内でのみしか、負担してくれない。
介護認定に応じた支給限度額の範囲内とは、以下の表のことだ。
認定 | 1か月あたりの範囲 | 1割負担 本人の合計所得金額が160万円未満 | 2割負担 本人の合計所得金額が220 万円未満 | 3割負担 本人の合計所得金額が220 万円以上 |
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
参考:
https://www.mhlw.go.jp/content/000334525.pdf
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/kaigo/kaigoriyoannai/kyufu/service/kubunsikyugendogaku.html
例えば、要支援1と認定された、年間所得150万円のおじいちゃんがいたとする。
このおじいちゃんは、表の一番上の
認定:要支援1
範囲: 50,320円
1割負担(本人の所得が160万円未満):5,032円
に該当する。
そのため、1週間に1~2度、リハビリ施設(17,120円)に通ったとすると、介護保険なしでは17,120円がそのまま負担になっていたものが、1割の1,712円で済む、ということだ。
仮に、リハビリ施設のほかに、介護予防の訪問介護(12,200円)を週2回追加したり、ほかにも生活援助などを頼み、介護保険がなかった場合の合計金額が50,320円を超えたとすると、そこからのお金は自己負担(=1割である5,032円+超過した費用)となる。
高額介護サービス費とは健康保険の高額療養費制度
しかし、超過した場合でも、国が認定している介護サービスにかかった費用であれば、高額介護サービス費制度が使える。
高額介護サービス費制度とは、自己負担となる金額を一定範囲、金額にして1カ月あたり44,000円で収めてくれる制度のこと。いうなれば健康保険の高額療養費制度のようなものと考えればいい。
これは要介護認定のいずれであっても同様の一定範囲となる。
ちなみに、住民税非課税世帯などは、上限範囲は24,600円と少し下がる
親の介護費用平均は月7.8万円、介護期間平均は4年7カ月
介護といえば、自分の介護よりも、先に親の介護に直面する人もいるだろう。
ここでは、親の介護にかかるデータも紹介しておこう。
公益財団法人「生命保険文化センター」の調査
まず、親の介護費用は、一時費用が平均69万円、月々の費用平均が7.8万円といわれている。
これは公益財団法人「生命保険文化センター」が平成30年に、過去3年間に介護経験がある人を対象に行った調査の結果だ。
介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均69万円、月々の費用が平均7.8万円となっています。
参考:https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/4.html
また、同法人は、介護をしていた期間についても調査を行っており、平均で54.5か月、つまり4年と7カ月ほどという結果になっている。
介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均54.5カ月(4年7カ月)になりました。4年以上介護した割合も4割を超えています。
参考:https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/4.html
Q&A
ここでは、ほかにも知っておいたほうがいい周辺知識をQ&A方式で紹介していこう。
Q.(自分が)何歳から、親の介護は始まる? A.50.9歳
大王製紙株式会社が2017年に行った、在宅介護中の男女300名を対象にした調査によると、在宅介護を始めた自身の年齢平均は50.9歳とのこと。
「在宅介護」を始めた年齢を聞くと平均は「50.9歳」、合わせて将来「在宅介護」をするかもしれないと意識し始めた年齢を聞くと平均「48.2歳」となりました。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000012928.html
また、厚生労働省の2009年の資料によると、要介護認定率が急上昇するのは80歳を超えてから。
要介護認定率は、70~74歳は6.3%、75~79歳は13.7%だが、80~84歳は26.9%となっている。
年齢階層別に認定率をみると、80歳以上から認定率約3割と急上昇する
参考:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/dl/s0531-13d_03.pdf
Q.親の介護 きっかけは? A.親が病気や怪我をしたときが半数以上
SOMPOホールディングス株式会社が2019年に行った、全国の30代以上の男女2179人(うち「親の介護経験がある」と答えた方:1,091人)を対象にしたアンケートでは、約50%の人が「親が病気や怪我をしたとき」に、親の介護の必要性を感じたと回答している。
半数の方が、親が病気や怪我をしたことをきっかけに、介護が必要だと感じたことがわかりました。また、病気などの具体的な事例がなくても、日々の生活や帰省のタイミングなどで親の老いや衰えに気付き、介護を必要だと感じた方も、40%近くいることがわかりました。
参考:https://www.sompo-hd.com/~/media/hd/files/news/2019/20191220_1.pdf
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