NISA(ニーサ)とは|仕組みから始め方、開設すべき人まで紹介

NISA

概要:NISAとは

NISAとは、別名「少額投資非課税制度」とも言い、投資で儲かった分が優遇(非課税)になる制度のことだ。

優遇されるのは年間120万円分の購入まで、それが5年間続く。

対象投資商品としては

  • 株式(国内、海外)
  • 投資信託
  • ETF(上場投資信託)
  • REIT(不動産投資信託)

が挙げられ、FXや仮想通貨などは対象外となる。

2023年までが現行の制度での適用となり、2024年以降は「新NISA」という新しい制度が開始される。

NISAの詳細と具体例

前提として、投資は大きく

  1. 証券口座を開設し、お金を入金
  2. 投資商品を購入
  3. 投資商品の「配当益(定期的に分配される配当)」「売却益(値上がり後の譲渡)」を得る

この流れで進んでいくが、配当・譲渡のいずれでも儲かった分には約20%の税金が掛かる。しかし、NISAを利用していれば、この「儲け」が課税されない。

 

  • NISA口座を開設
  • 年間120万円までの非課税枠
  • 5年間

というワードについてだが、これらは投資の流れのうち、以下の部分に該当する。

  1. 証券口座を開設し、お金を入金
    →ここで、同時に「NISA口座」の開設を申し込む
  2. 投資商品を購入
    →適用されるのは年間120万円分の購入まで
  3. 投資商品の「配当益(定期的に分配される配当)」「譲渡益(値上がり後の売却)」を得る
    →2021年に購入したものは2026年まで非課税、2022年に購入したものは2027年まで非課税ということ

具体例をいくつか挙げよう。1年に1回、1株につき1万円の配当が出る株があるとする。この株は今10万円で、12か月目には30万円になる。

例1:

1か月目:10万円の株をNISA口座で購入した
(合計で1株保有中、枠残り110万円)

2か月目:10万円の株をNISA口座で購入した
(合計で2株保有中、枠残り100万円)

3~11か月目:10万円の株をNISA口座で毎月購入した
(合計で11株保有中、枠残り10万円)

12か月目:10万円の株が30万円になったので1株だけ売却した
(20万円儲かった、合計で10株保有中、枠残り10万円)

配当月:10株を持っているので、10万円の配当を受け取った
(10万円儲かった)

→合計で30万円儲かったので通常であれば約20%=6万円の税金が掛かるが、これがかからない。残った10万円の枠は、翌年に120万円にリセットされる。

例2:

1か月目:10万円の株をNISA口座で購入した
(合計で1株保有中、枠残り110万円)

2か月目:10万円の株をNISA口座で購入した
(合計で2株保有中、枠残り100万円)

3~11か月目:10万円の株をNISA口座で毎月購入した
(合計で11株保有中、枠残り10万円)

12か月目:10万円の株が30万円になったので10株売却した
(200万円儲かった、合計で1株保有中、枠残り10万円)

配当月:1株を持っているので、1万円の配当を受け取った
(1万円儲かった)

→合計で201万円儲かったので通常であれば約20%=40万2000円の税金が掛かるが、これがかからない。残った10万円の枠は、翌年に120万円にリセットされる。

例3:

1か月目:10万円の株をNISA口座で購入した
(合計で1株保有中、枠残り110万円)

2か月目:10万円の株をNISA口座で購入した
(合計で2株保有中、枠残り100万円)

3~11か月目:10万円の株をNISA口座で毎月購入した
(合計で11株保有中、枠残り10万円)

12か月目:10万円で滑り込んでもう1株買った。その直後に株が30万円になったが売らなかった
(合計で12株保有中、枠残り0円)

配当月:12株を持っているので、12万円の配当を受け取った
(12万円儲かった)

翌年:枠がリセットされた
(合計で12株保有中、枠残り120万円)

13か月目:30万円の株をNISA口座で購入した
(合計で13株保有中、枠残り90万円)

14か月目:株が30万円になっているので、今年買った分は残し、去年買った分は売却した
(12株×30万=360万円ー120万円(12株)=240万円儲かった、合計で1株保有中、枠残り90万円)

→配当の12万円と、売却の240万円、合計252万円儲かったので通常であれば約20%=50万4000円の税金が掛かるが、これがかからない。枠は、翌年に120万円にリセットされる。

ロールオーバーとは枠の移し替えである

ここで「5年過ぎたらその投資商品はどうなるの?」と疑問に思うかもしれない。

NISAの枠で購入した投資商品が5年経過した場合には、

  • 特定口座・一般口座へ自動移行となる(通常の20%課税になる)
  • ロールオーバーの手続きをする

これら2つの選択肢をとれる。

NISA口座を開設する際には、同時に特定もしくは一般口座を開設しているはずなので、そちらへの自動移行となる。しかし、移行後にその投資商品で儲けが出た際には課税されてしまう。

課税を避けたいのであれば「ロールオーバー」という制度が活用できる。

ロールオーバーとは、一言でいえば「枠の移し替え」である。毎年もらえる年間120万円分の購入枠を、過去に購入した投資商品に割り当てるということだ。

ロールオーバーの際には、5年間が終了する年の年末の終値時価が計算され、その金額を枠120万円分から差し引く。価値が上昇し、120万円を超えていた場合には、枠いっぱいを使用するという扱いで移行が可能だ。

NISA口座を開設すべき人

NISAは、

  • 中期投資を行いたい人
  • 国内株式や海外株式に投資したい人
  • 値上がりによる大もうけを狙いたい人
  • たくさんの配当を得たい人

に向いている。

まず、中期投資とは3年~5年のスパンで、値上がりや配当などを狙うという意味だ。もし短期投資(デイトレード)をしてしまうと、売買を繰り返すことになり、非課税枠をすぐに使い切ってしまう。

また株式投資においては、税制の優遇制度がほかにはあまりない。よく比較される例として「積立NISA」や「iDeCo(イデコ)」があげられるが、いずれも株式投資は対象外だ。そのため株を始めたい人はNISAは視野に入る。

そして、いくら儲かっても5年間は非課税になるため、安い値段で購入して高い値段で売り抜けることを狙う人にもおすすめだ。しかし、いったんは5年間で勝負を決める必要があるため、鋭い読みなどが必要になるだろう。

最後に、たくさんの配当を得たい人も同様だ。高配当株などで配当金をたくさん受け取っても非課税になるため、NISA口座を有効に活用できる。調子が良好ならロールオーバーも選択肢に入ってくる。

NISAの始め方

NISAを始めるには、

  1. 証券口座を開設する
  2. ここで、同時に「NISA口座」の開設を申し込む
  3. 投資商品を購入する
  4. 投資商品の「配当益(定期的に分配される配当)」「譲渡益(値上がり後の売却)」を得る

という流れになる。

まずは証券会社を選ぶところから始めよう。

証券会社選びについては、別記事で詳しく解説する予定だが、基本的には

  • 手数料
  • 銘柄数(選択肢の豊富さ)
  • 評判の良しあし(凍結などの恐れ)
  • 銀行との連携

が指標になる。

そして証券口座を開設したら、同時にNISA口座を申し込もう。これで準備は完了だ。

あとは自分が「儲けが出る!」と考えた投資商品を購入し、その時を待つだけだ。

よくある質問

Q.NISAのメリット・デメリットは?

A.NISAは

  • 年間120万円分までの投資が非課税になる

ことが一番のメリットだ。

その一方で、

  • 1人1口座しか持てない
  • 損益通算ができない

というデメリットもある。

1人1口座とは、すべての金融機関の中で1つだけという意味だ。ほかの金融機関や証券会社でNISA口座を持ちたいのであれば、いま開設しているNISA口座を移管しなければならない。

また損益通算といって、投資で黒字になった場合、その黒字部分をほかの赤字になった投資と合算することができない点も注意だ。

Q. 積立NISAやiDeCo(イデコ)との併用は?

A. NISAは、積立NISAとの併用はできない。しかしiDeCo(イデコ)との併用は可能だ。

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